---第33号特集記事---


―セカンドオピニオン

患者と医療者の新たな信頼関係を求めて

2004年10月 シンポジウム講演録 (前半)

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講  演  者
埴岡健一さん 医療ジャーナリスト
南雲吉則さん キャンサーネットジャパン代表・医師
山下浩介さん 神奈川県立がんセンター放射線科医師
かながわ・がんQOL研究会
石井 猛さん 千葉県がんセンター整形外科医師
上野 創さん 朝日新聞記者 がん体験者



山下 浩介さん 神奈川県がんセンター放射線科医師・かながわ・がんQOL研究会)

私は、神奈川県立がんセンターで放射線治療医をしております。放射線治療というのは、手術と比べて切らないで治す、機能を残すとか形態を残すという点でメリットがあります。しかし、人間は生きていく上で、そういう身体的なものだけではなくて、気持ちの問題もありますし、社会的なQOLもありますし、スピリチュアルな(生きがいとか霊的と言われる)面も持っています。そこで、広い観点から患者さんのQOL(クオリティーオブライフ:生命の質、生活の質)を考えなくてはならないということで、仲間と一緒にかながわ・がんQOL研究会を作って活動しています。おおよそ会員が350名くらいでして、2カ月に1回研修会を開いて、患者さんと対話を続けています。

QOLというのは、課題が多くて、告知、インフォームドコンセント、ターミナルケア、在宅療養、アメニティ、セカンドオピニオンなどがありまして、こういうものを含めてやっています。最初は「QOLとは何か」が分からなかったので、その調査と評価ということで研究をしていたのですが、研究だけではいけないということで、最近は実践も含めての活動をしています。

こういうパンフレットを作っています。おおよその活動内容は、今言いましたが、講演会・研修会を2カ月に一度。患者さんが見て、自分で問題を解決する手助けとなるような患者サポート用の冊子とニュースレターを配っています。また、会には、がん患者さんの会“こすもす”と、“星の会”という子供さんをがんで亡くした親の会もありまして、そのサポートをしています。

これが、我々が作っている小冊子で、第6巻まで出ていまして、第7巻を今作成中です。簡単に紹介しますと、
1.Life with cancer (がんと共にあゆむ)
  
がんになった時にどうすればいいか、医師に対する質問方法などが書いてあります。
2.Living with cancer when cannot be cured (がんが治らないとわかったとき)
  
がんが治らないとわかった時どうするか、そのヒントが書いてあります。
3.Talking to children when an adult has cancer
      (がんに罹った患者や家族が、子供に真実をどう話すか)

   親などの親しい大人ががんに罹った時、子供には事実を隠して放っておかれちゃうことが
   多いんですね。そんな時、どのようにサポートしたらいいか?
 
4.Men and cancer (男性とがん)
 
 これはイギリスの本の翻訳なんですが、日本でも病室に行くと意外に男性はカーテンを
  引いてこもってしまい、自己表現をしたがらない。ところが、女性は逞しいので、皆ペチャ
  クチャおしゃべりをしている。イギリス人もそうみたいで、男性はコミュニケーション、自己
  表現が下手なのでどうしたらいいか? 

5.Body image, sexuality and cancer (ボディイメージ、セクシュアリティとがん)
   これは、がんに罹って体のイメージが変わったときにどう対処していくか、について書いて
   あります。

6.Close-relationship and cancer(クロスリレーションシップとがん)
   がんが親しい人との関係にどう影響するか、そしてどのように対処していったら良いかが
   書かれていま
す。

                   かながわ・がんQOL研究会のホームページ


セカンドオピニオン外来はこれから創り上げていく領域

拠点病院におけるセカンドオピニオンの実際


ここからが本題になります。全国各都道府県に、大学病院を除いて、がんセンターと呼ばれる所や、○○県立中央病院などと呼ばれる所があります。そういう所が、その地域のがんを主に扱っているんですが、それらの病院がどれだけセカンドオピニオンを扱っているのか、ということを6月の時点で調べたものです(表2)。国立病院も4月から独立行政法人になって、セカンドオピニオン外来を推奨するということでやっているのでどんどん変わってきていますが、6月に調べた時点ではかなり空欄が多かったんですね。各施設によって費用が全然違う。これは、セカンドオピニオンをやっている所だけを示したもので、HPで公開しているところは○印で示してあります。どういうふうにやっているかというのをみると、自費診療の所と、無料という所があるんですね。さらに、診療報酬制度を適応し、保険診療の中で三割負担でやっているところがありました。患者本人を受け付ける場合はいくら、家族の場合はいくらと費用が違っている。受付方法は随時受け付けるのと、予約制のところがあり、予約制のところがすごく多くなってきています。導入時期は1997年からやっているところもあれば、2000年からやっているところもあります。


実は、神奈川県は2004年の7月1日からセカンドオピニオンを実施するということを、現場の僕ら医師には何の相談もなく急に本庁が決めまして、トップダウンであっという間に行われることになりました。今までの演者がいろいろ説明されましたので、セカンドオピニオンの内容については触れなくていいと思うんですが、どういうふうにやっているかということを、一応お見せします。「県立病院におけるセカンドオピニオンの概要」というところを見ていただきますと、

1.患者さん、またはその意思を代行できる方から相談の希望があった場合、患者さんの主治医が作成した紹介状に基づいて行われます。その際、診療情報、検査所見、画像データなどの資料を提供していただきます。
2.セカンドオピニオンを行う医師は、患者さんから提出された診療情報、画像データ等に基づき、診断や治療法について意見を述べます。
3.セカンドオピニオンでは検査・治療は行いません。
4.県立病院で行ったセカンドオピニオンの内容は、患者さんの主治医に文章でお知らせします。

ということで、一応原則としては、検査・治療は行わずに紹介を受けたら意見だけを返事に書くというのが、基本です。これを7月1日からやっています。我々は普段外来をやっているわけですが、セカンドオピニオンの制度が始まったからといって人員が増えたわけでもないし、外来時間の枠が別に増えたわけでもありません。いままでの外来の延長でやっている感があります。他の診療科では、手術がないときに別枠を作ってやったりしてやりくりしています。外来全体でこれからどうやっていったら良いか、忙しくなっているだけでは困るので、どのように運用していったら良いのか検討している、というのが現状です。



セカンドオピニオンの費用は?

費用の方ですが、皆さん高いと思うか、安いと思うかいろいろでしょうが、1回につき基本料金が7,490円。セカンドオピニオンは自費で行っています。この料金の計算はどこから出てくるかというと、診療報酬制度の初診料と紹介患者加算、それに我々が返事を書く紹介医への情報提供料を加え、さらに消費税を足すとこの数字が出てくるんです。それに加えて加算料金というのがありまして、例えば普通の胸のレントゲン写真を持ってくると、その画像診断料が870円プラスされて8,360円(7,490+870円)。CT画像やMRI画像など、ちょっと画像が多かったり複雑だと、画像診断料が急にはね上がって4,650円。そうすると合計で12,140円(7,490+4,650円)になります。そんな料金のことも外来予約の時点で担当者が説明して、一応OKしていただいているという形で行っています。費用に関しては、持参してきた検査の項目が加算されます。

この方法が良いのかどうかはまだ始まったばかりなので、これからまた話し合っていくことになると思うんですが、一応セカンドオピニオンの値段としては、これくらいがおおよそ妥当なのではないかと言われています。やり方とか値段に関しては、あとで質問に答える形でお話したいと思っています。以上簡単ですが終わりにします。


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